世界遺産登録推進セミナーin大牟田

コーディネーター:加藤康子氏

パネリスト;古賀大牟田市長、映画監督の熊谷博子氏、中野浩志NPO大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ理事長、田中久仁子氏。なお、写真は当日のものではありません。
パネルディスカッションその1から続く。


加藤氏

「今回のように三池に集中した講演は初めて行った。三池を見てきた熊谷さんに本音を聞きたい。歴史の真実を残す点ではどう考えられますか?」

熊谷博子監督

熊谷博子氏
「5日朝の朝日新聞・・関東だけかもしれないが、そのオピニオン欄に熊本の人から登録を急いでほしいとの投書があった。また自分の映画のサイトの掲示板に28歳の女性からは、自分の父は炭鉱マンだったが実際に働いていたころは父の仕事が恥ずかしくて厭だった。家族で見てショックを受け町の歴史を再認識したという書き込みがあった」
「最近荒尾市の万田坑にいってとてもショックだった。映画を撮影したころは公園化されたいまでは見えない声が聞こえていた。いまのような文化庁の保存では声が聞こえない。いまの状態で大丈夫か」
(拍手あり)
「役所などが大がかりにやっていることなので、みんな表だって言えない人が多い。なんとかならないのかという感想だ」

加藤氏
「荒尾だけの遺産ではなく世界遺産だということを理解してほしい。なぜ今日三池港を集中して述べたのかといえば、三池炭鉱が九州山口の近代化遺産群のなかの世界遺産となるうえでは、三池港の存在が不可欠で、三池港で万田坑のような整備をやってしまうとかなり危ないから。」
「文化財保護法以外で保存することを考えておられますか?市長さん」


古賀大牟田市長 古賀市長
「こういうと語弊があるのだが、今日はわたしも含めて目から鱗が落ちた。文化財指定が世界遺産の前提と思っていたが、産業遺産でも稼働中のものはそれが一般的ではないと聞いて良かったと感じた。三池港は将来へ向けて発展し整備してもらわなければならない港だと考えており、それが文化財指定において制約されるのであれば、三池港だけが外れるのは止むなしと考えていた。」
「文化財保護法ではなく既存の港湾法や港湾計画でやることで、遺産と両立できるということなので、加藤さんの言う方法で作ってほしいというのが私の考え方です。」

加藤氏
「市民に愛される三池港と、工業港である三池港は両立する。いまでも持てる港の夢について田中さんにお伺いしたい」

三池港1dayカフェ

田中久仁子氏(三池港1dayカフェ代表)

「一部では行われているが、これを大牟田市民レベルまでどうやっていけばいいのかというのはある。メディアすべてが閉山以降には大牟田の炭鉱については暗い世相ばかりだったが、この5年ほどは近代化遺産といわれるようになった。何か箱モノを作ろうというのではなく、朽ちたものにも込められた魅力がある。」
「これから来る人が増えるとすれば、これまで工業の街で来る人には苦手だったが、来た人をもてなす気持ちが大切だ」


加藤氏
「中野理事長には、今後の目標、まちづくりと世界遺産の目標を教えて欲しい。」



中野浩志理事長

中野理事長
「われわれの活動目標すべて=世界遺産を目指すというのではないが、多くのみなさんにまちの遺産を知ってもらいたいのです。そのきっかけが世界遺産なのであればありがたい。かつてどこかで目標をきかれたときに、大牟田の近代化遺産群がデートスポットになるぐらい親しまれて欲しいといったことがあり、その後、わたしも結婚式を万田ですることになった。それはさておき、以前は三井の港として近づくことさえ何かなかった三池港にカフェができるなど状況はかわってきた」
「以前ガイドしたときに、山の神(勝立)に案内した。山に数多く存在した社宅は跡方すらほぼ消えてしまっているが、残るものとしてとても感動された。暫定リストの構成遺産となった宮原坑・万田坑・三池港・鉄道敷以外のものもまだ数多く、それをみなさんに知ってもらうのが私の夢です」





その3へ続く。
2010.08.03記録。


2010/08/23 wrote: