世界遺産登録推進セミナーin大牟田

コーディネーター:加藤康子氏

パネリスト;古賀大牟田市長、映画監督の熊谷博子氏、中野浩志NPO大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ理事長、田中久仁子氏。なお、写真は当日のものではありません。
その2から続く。


古賀大牟田市長

古賀市長

「加藤さんに質問したいが、世界遺産には本当になるのか、いつごろなれるのかとよく質問される。いつごろだろうか」


加藤氏

「最初三池に来た時、遺産になるという確信は必ずしもなかったのだが、専門家委員会での討議の中で世界遺産指定に必要なOUVへの確信が持てた。」
「ただし文化財保護だけでは無理で、国をうごかさなくてはならず、ユネスコが2015年以降シリアルノミネーションを絞ることを考えると、2013年-2015年にはやらねばならず、国の出方を待っていては絶対にできない」

古賀大牟田市長 古賀市長
「国を動かすというとても高いハードルがあるが、市民のみなさんと一緒に超えていきたいし、他の市町とも連携し動かしていきたい。3-5年後ということなので、がんばりたい。それがなれば観光都市・交流都市になるだろう。その前に三つやることがある。
  1. 1.civil pride
  2. 2.学習
  3. 3.景観
である。
まず市民の誇りを持つこと。大牟田はさびれているとかすたれているとかいろいろ住んでいる人も言うけれど、世界に誇る遺産をみて愛郷心や誇りを持ってほしい。
次に学習すること。出前学習を行ったが、子供にはむろんのこと、大人も学習して自信を持って遺産について話せるようにする。
3つ目に景観。雑草やごみがあちこちで目立つような町は観光都市ではない。一部の人だけがやるのではなくみんなで。田中さんが云われたように、労働者の街でもてなしは苦手だったが、もてなしの心で。感謝の気持ちを持って。
また、遺産だけではなく特産品も欲しい。今日は商工会議所の大坪さんもこられておりよろしくお願いしたい」

熊谷博子監督

熊谷博子氏
「東京から来ると、大牟田は飯がうまい。負の遺産に向き合うことで富の遺産にかなう。とにかく、やろうぜということです」
「いま三池についての本を書いているのだが数年かかってまとまらないのは、この地に潜在価値が高く書きたいことが多いから。こんなところは日本広しといえどもそうそうない。みんなで潜在価値を掘りましょう」

三池港1dayカフェ

田中氏
「熱い言葉が聞けてうれしい。市のトップが言われたことで、次にやることが決まった気がする。ふつの市民がいつももてなす側に参加できるスタンスをとり続けたい。中野さんには悪いが、近代化遺産について語る人の多くはマニアだった。それもいいが、そこだけではないように、レベルアップしたい」

中野浩志理事長

中野理事長
「昨年市長の市民懇談会で、炭鉱について副読本にいまは書かれておらず子供たちに伝わっていないという要望を話したが、今年から細部にエラーはあるが、わたしたちの大牟田で近代化遺産について記されたことについて市長さんに感謝したい。
また、熊谷さんにお詫びしたい。
映画撮影にあたって、使用されなかった映像テープが石炭館にあるのだが活用されていない。てーぷ起こしもあるので、なんとか形にしたい」

加藤康子氏 加藤氏
「時間がおしてしまいましたが、こんなすごいみなさんが列席するせっかくの機会ですから会場からご質問はないでしょうか」


会場質問
「福岡に住んで軍艦島などの研究をしています。わたしも20代まで志免にいて炭鉱には愛着があるし、あの映画を見て感動したが、熊谷さんの万田坑の公園化についての発言については反論したい。何事も安心安全をまず第一に考えなければならない。高齢者が見るだけに特にそうだ」

熊谷博子監督

熊谷博子氏
「これまではこういう議論すら行われていなかったので、ありがたい」


会場質問
「近代化遺産の世界遺産指定について、欧米の学者は日本そのものにあちらとは比較にならないほど強い地震によるリスク問題があることをかなり軽視している。軍艦島も地震こそないが海底活断層上にある。これはおかしい」

加藤康子氏 加藤氏「海外と状況が違うことについてまったく認識していないというわけではない。万田坑については耐震ひとつとっても他にやりようはあったのではないか。何をどうすべきか議論を深めたい」

最後に、世界遺産についてガンバローと3回コールして終了。



2010.08.03記録。


2010/08/23 wrote: