もう一つのフルサト−出水をさるく 3  鹿児島県出水市 (2011年9月23日撮影)


 



ツル保護センター

 出水市荒崎のツル観察センター隣にあるツル保護センター。毎年の冬、遠くシベリアから飛来するツルたちで あるが、何らかの理由で負傷したツルがここで保護されている。「2月、仲間たちがまたシベリアへ帰って行くとき、一緒に帰ることが出来な かったツルが泣くのよ。その鳴き声が何とも悲しくってね」と、ここへ案内してくれたおばさんが説明してくれた。フルサトが恋しいのは、人間 ばかりではない。ツルとて同じなのである。

名護港

 名護港に近い駅は肥薩オレンジ鉄道「米ノ津駅」。その鉄道に平行して国道3号線が走る。この辺りまで来ると野田村 とは違って景色が少し賑やかになる。国道沿いに「ヤマダ電機」「ユニクロ」「ケーズデンキ」「スーパー・ニシムタ」等が建ち並び、買物客で賑わ っていた。また、出水市ツル博物館もある。
 しかし、忘れてはならないことは、名護港付近一帯にもかつては水俣病公害が影響を及ぼしていた時代があったということである。「私の近所にも 水俣病の患者さんがいてね、その人はチッソの社員であったから遠慮して最初は黙っていたけど、定年退職後は水俣病の認定をもらって今も病院通い をしているのよ」と、おばさんが話してくれた。その歴史は三池と同じく、決して忘れてはならない歴史なのだ。

肥薩オレンジ鉄道電車

 帰りの高尾野駅に停車する肥薩オレンジ鉄道電車。向こう隣りに野田郷駅がある。その一帯を祖母マツカメさんや 父、母が昔歩いていたかと思えば、何か込み上げてくるものがあった。「またここへ来よう」。私はそう思った。 

高尾野駅から見た八代海

 来たときは気がつかなかったが、帰りの高尾野駅から眺める向こうに、青く広がる海を見た。「あれが八代海か」。 ここが父のフルサトであるのなら、私にとってもフルサトであるはずだ。もう一つのフルサト。その八代海から吹く風が、私の生まれたフルサト 有明海につながっていることを、教えてくれているようだった。帰りの電車が来るまでのしばらく、私はずっと海を眺めていた。
 「歴史とは、現在と過去との対話である」。ある人の言葉が思い浮かんだ。 

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